カンボジア進出を考えるヒント ①海外進出を考える際に

近年、日本企業にとって海外進出の必要性が一層高まってきています。よく言われているように、人口減少の影響が大きくなり始めている日本国内の市場では、今後の大きな成長を期待することが日々難しくなってきています。企業としても国内市場で生き残りながら成長を続けるために、「海外市場におけるチャンスを逃してはならない」と、東南アジアを中心とした海外進出をする企業が後を絶ちません。
しかしながら、日本企業が海外進出したとしても、予想したほど他の外国企業のように成果を上げられなかったという事例も多くあり、残念ながら、現在もその数は増加傾向と言われております。
聞こえの良い「海外進出」という言葉が気軽に使われる一方、その意味は今までのビジネスノウハウがほとんど通用しない世界への0からのチャレンジでもあります。ここでは、その海外進出を成功させるためのヒントを一部ご紹介させて頂きます。

決定権者が直接現地へ赴く

「日本から来る視察者は決定権を持っていないのか?」
 現地の方々と進出案件についての話になると、たびたび耳にする言葉です。日本企業が海外進出を検討する際、まず何名かの担当者が視察に行き、現地で色々な情報を収集するうち、現地企業とも話が進み、「ぜひ一緒にプロジェクトを進めましょう」と合意に至るケースは確かによく見られます。
 しかしその後が問題です。現地企業は合意に基づいて行動を開始しますが、日本側の動きはなぜかそれ以降に滞ることがよく見られるのです。例えば、合意した企業へ「まだ社内承認が得られていないので、次は上司が現地に行きます」と返答が送られ、しばらく時間が経つとその上司が現地を訪れ、「さあ、早速具体的なアクションに移りましょう」と先方は期待するも、「海外進出に関する重要な案件なので、取締役決済が必要です。次は取締役が来ます。」と、またしても決済は下りず、時間ばかりが無駄に過ぎていきます。
「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!」の台詞ではありませんが、海外進出を考えるのであれば、決定権者自らが現地に赴くことが大切です。
海外進出を失敗してしまう要因の一つとして、日本の会議室の中だけで全ての判断をしようというものがあります。もちろん、慎重さが大切なことは言うまでもありませんが、現場でTPOを考えつつ適格な判断を行う選択肢がないということは問題になります。

「日本から来る視察者は決定権を持っていないのか?」
 現地の方々と進出案件についての話になると、たびたび耳にする言葉です。日本企業が海外進出を検討する際、まず何名かの担当者が視察に行き、現地で色々な情報を収集するうち、現地企業とも話が進み、「ぜひ一緒にプロジェクトを進めましょう」と合意に至るケースは確かによく見られます。
 しかしその後が問題です。現地企業は合意に基づいて行動を開始しますが、日本側の動きはなぜかそれ以降に滞ることがよく見られるのです。例えば、合意した企業へ「まだ社内承認が得られていないので、次は上司が現地に行きます」と返答が送られ、しばらく時間が経つとその上司が現地を訪れ、「さあ、早速具体的なアクションに移りましょう」と先方は期待するも、「海外進出に関する重要な案件なので、取締役決済が必要です。次は取締役が来ます。」と、またしても決済は下りず、時間ばかりが無駄に過ぎていきます。
「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!」の台詞ではありませんが、海外進出を考えるのであれば、決定権者自らが現地に赴くことが大切です。
海外進出を失敗してしまう要因の一つとして、日本の会議室の中だけで全ての判断をしようというものがあります。もちろん、慎重さが大切なことは言うまでもありませんが、現場でTPOを考えつつ適格な判断を行う選択肢がないということは問題になります。

アジアのスピードに乗り遅れない

海外進出を考える日本企業の多くが理由としていることに、人件費の削減や生産コストを下げるというものがあります。しかし、こういった理由からの「海外進出」という概念からそろそろ脱却する時期に来ているのかもしれません。もう、かつてのようなアジアは存在しないからです。前提としているアジアのイメージが大きく変化してしましました。例えば、カンボジア近隣のタイはというと、すでに先進国と変わらぬ消費水準を誇っていますし、街並はもはや東京と大差がありません。先進国レベルに手が届くまでに成長したアジア代表国は、日本が経済成長を停滞させてきた失われた二十年の間に大きくな変貌を遂げてしまったのです。
これまでの日本企業の海外進出を、10年・20年単位で振り返ると「失敗、撤退の歴史」とまとめることができるかもしれません。実際に日本企業は中国・ブラジル・ロシア・インドの進出では、惨澹たるあり様でした。70年代にはブラジル投資の大ブームが起こり、飛んで行ってみたは良いが猛烈なインフレに遭遇し、日本企業は我先に撤退。急速な民主化と自由化を進めたロシアにも投資ブームを聞きつけて行ってみたが、97年の金融危機を境にまたもや撤退。インドにおいても各地に日本企業が工場建設をしたが複雑なインド社会に対応しきれず(1990年末~2000年初め)工場閉鎖や駐在員の撤退が相次ぎます。
 多くの日本企業が進出をした他のアジア諸国においても、大苦戦が強いられ、1997年のアジア危機の時に耐え切れず一斉に身を引いた日本企業。その空いた場所に乗り込んで行ったのが韓国企業です。見放され、縮小していく市場の中でアジアへ一気に食い込んだのがサムソンやLGだったのです。そして、韓国勢は一気にアジアの家電市場に、その地位を確立していしまいました。「アジア経済の基礎を作ってくれたのは日本です。」と現地の人は口を揃えて言うのですが、その基礎の上に家を建てたのは韓国で、その後ろに中国が家を建てようとしているのです。アジアの家電市場は韓国勢に席巻され、もうすでに格安中国製品が存在感を持ち始めているのです。
日本企業の経営判断の遅さは、アジア諸国の経営者やビジネスマンからも数多く指摘されています。現地法人では何も決定できず判断はすべて日本本社に委ねるシステムこそが、日本企業のスピード感の無さを如実に体現していると言えます。日本企業がアジアで反転攻勢をかけるための何よりの武器は「スピード」なのです。サムソンもLGもこの「スピード」によって入り込んできました。日本企業が「負けている」のではありません。日本製の信用は今も健在です。にもかかわらず他国企業の後塵を拝するハメになるのは、単に経営決定のスピードが遅いと「嘲笑されている」という噂が、そのまま現地の評判になっていることを頭の片隅に入れておいた方が良いかもしれません。

日本国内のスピード感ではなく、アジアのスピード感に乗り遅れないこと。そのためには、現地で直接判断を下せる決裁権者が陣頭指揮をとることが大切です。

 

海外進出を考える日本企業の多くが理由としていることに、人件費の削減や生産コストを下げるというものがあります。しかし、こういった理由からの「海外進出」という概念からそろそろ脱却する時期に来ているのかもしれません。もう、かつてのようなアジアは存在しないからです。前提としているアジアのイメージが大きく変化してしましました。例えば、カンボジア近隣のタイはというと、すでに先進国と変わらぬ消費水準を誇っていますし、街並はもはや東京と大差がありません。先進国レベルに手が届くまでに成長したアジア代表国は、日本が経済成長を停滞させてきた失われた二十年の間に大きくな変貌を遂げてしまったのです。
これまでの日本企業の海外進出を、10年・20年単位で振り返ると「失敗、撤退の歴史」とまとめることができるかもしれません。実際に日本企業は中国・ブラジル・ロシア・インドの進出では、惨澹たるあり様でした。70年代にはブラジル投資の大ブームが起こり、飛んで行ってみたは良いが猛烈なインフレに遭遇し、日本企業は我先に撤退。急速な民主化と自由化を進めたロシアにも投資ブームを聞きつけて行ってみたが、97年の金融危機を境にまたもや撤退。インドにおいても各地に日本企業が工場建設をしたが複雑なインド社会に対応しきれず(1990年末~2000年初め)工場閉鎖や駐在員の撤退が相次ぎます。
 多くの日本企業が進出をした他のアジア諸国においても、大苦戦が強いられ、1997年のアジア危機の時に耐え切れず一斉に身を引いた日本企業。その空いた場所に乗り込んで行ったのが韓国企業です。見放され、縮小していく市場の中でアジアへ一気に食い込んだのがサムソンやLGだったのです。そして、韓国勢は一気にアジアの家電市場に、その地位を確立していしまいました。「アジア経済の基礎を作ってくれたのは日本です。」と現地の人は口を揃えて言うのですが、その基礎の上に家を建てたのは韓国で、その後ろに中国が家を建てようとしているのです。アジアの家電市場は韓国勢に席巻され、もうすでに格安中国製品が存在感を持ち始めているのです。
日本企業の経営判断の遅さは、アジア諸国の経営者やビジネスマンからも数多く指摘されています。現地法人では何も決定できず判断はすべて日本本社に委ねるシステムこそが、日本企業のスピード感の無さを如実に体現していると言えます。日本企業がアジアで反転攻勢をかけるための何よりの武器は「スピード」なのです。サムソンもLGもこの「スピード」によって入り込んできました。日本企業が「負けている」のではありません。日本製の信用は今も健在です。にもかかわらず他国企業の後塵を拝するハメになるのは、単に経営決定のスピードが遅いと「嘲笑されている」という噂が、そのまま現地の評判になっていることを頭の片隅に入れておいた方が良いかもしれません。

日本国内のスピード感ではなく、アジアのスピード感に乗り遅れないこと。そのためには、現地で直接判断を下せる決裁権者が陣頭指揮をとることが大切です。